練習は裏切る

 前々回紹介した室伏広治氏の著書「ゾーンの入り方」(集英社新書)の中で、氏はスポーツ界に「練習は裏切らない」などの格言があるが、実は『ときに練習は、ウソをつく』 と述べています。
私は以前に「練習は嘘をつかない」(2017/11/29)のタイトルで書いたので、氏の主張を興味深く読みました。

彼の父親の重信氏はかっては日本を代表するハンマー投げの選手でした。伸び盛りの時期に迎えたメキシコ五輪(1968年)を目標にしていましたが、大スランプに陥り、なんとしても日本代表になろうと猛烈な練習を重ねました。しかし、記録は伸びず、練習をするほど逆に記録が悪くなっていきました。どうしてよいかわからずにいたとき、自分のフォームを8ミリカメラに収めてみました。現像して仕上がったフィルムを見て重信氏は “なんてひどいフォームなんだ” と驚愕したそうです。それ以降、すべての練習を中止してフォームを根本的に直すことを始めたところ、記録が伸びていき、日本新記録も出しました。

悪いフォームで練習を続けると「練習は裏切る」という重信氏の教訓は息子の広治氏に伝承され、著書の中で『どんなに努力しても、それが正しい方向への努力でなければ、努力が報われないだけでなく、余計に悪い結果を招いてしまうことがある。』と語り、自分を客観的に見ることの重要性を説いています。

私たちマンドリン弾きにとっても参考になるコメントのように感じます。
演奏フォームはひとそれぞれですが、やはり合理的なフォームはあるのだろうと思います。左手や右手の動きを阻害しないような楽器の支え方、脱力した(ガチガチでもグニャグニャでもない)手や指など。

室伏氏は練習フォームを客観的に見るため、スマホでビデオに撮ってみることをアスリートに勧めています。マンドリン弾きもすぐにやれそうですね。私は(ガラケーなので)撮ったことがありませんが、自分の演奏を録音して聴いたことは何度もあります。そこで分かったのは弾きながら聴く自分の耳は意外と当てにならない、ということ。しっかり弾いているつもりでも録音は聴くに耐えなかったりします(「トレモロ修正の顛末」2017/05/16 )。

氏も強調していましたが、周りからのアドバイスが得られる環境をつくっておくことも大切ですね。プロに習いに行くのが一番よいでしょうが、なかなか事情が許さない場合もあります。そこで頼りになるのは楽器仲間。経験上、周りからの意見に耳を傾けると改善すべき方向が見えてきます(相手が気を悪くしてしまうのではないかと互いに遠慮してしまうこともありますが・・・)。

長年自分流のスタイルで弾いていると、一からやり直すとか、根本的に直すということが簡単にはできません。でも自分の演奏をこんな風に変えてみたいという気持ちがあれば、練習にいろいろな創意工夫が加わってくることでしょう。
結局のところ、“正しい”練習は裏切らない!!

画像
バラ “伊豆の踊子”
(千葉県立柏の葉公園のバラ園にて)

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